時々父は私の3階にある画廊を訪ねて来て、「どうだ、商売は上手く行っているか」と訊いた、私が「今年は売上が1億に行きそうだ」と言って安心させてあげると黙って帰っていった。親父が死んだ後、弟が私に言った。−お父さんはずっとよっちゃんが寺に戻るのを待っていた。俺が手伝っているにも拘わらず、と
親は子供を公平に愛する筈なのに,私の好きなビデオはゴッドファーザーの一巻で、マイケルの事を気使っている父の場面を見ると何とも云えず涙が出てくる。ーマイケルと違って父のために何もしなかった私にも拘わらず。私は愛された方だから良いが、2番目に成ってしまった弟の気持ちは私にはずっと解らなかった。そしてその弟もわずか49歳で死んでしまった。解らないまま、解ってもしょうがないと言う気持ちが一緒になったまま、若くして死んでしまった弟をだんだん不憫に思い始めている。
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