2月16日、ニューデリーで汽車によるインド一周の切符を学割で買う。残金は500ドルを切っていた。このインドこそが私の目的とした最後の、締めの冒険の地であった。故に軽く通過するつもりは無く、最後の体力と気力を賭ける事にした。住みなれたロサンジェルスを出てから5ヶ月半が過ぎていた。
インドでは特に生水だけは飲んではいけないと言われていたので、
必ずアルコールランプで湯を沸かし、茶をたてて飲んだ。
市場でパンとバター、それに鮪の缶詰などを買ってきて部屋で食べたりもした。
2月18日、アグラのタジマハールを訪ねる。内部で多くの欧米から来たヒッピーが座禅を組んでいた。
アメリカの大学に通う間、沢山のアメリカの若者の近くにいたが、友達になったのは一人もいなかった。
多分その時間が無かった事と、言葉でのコミュニケーションが上手く出来なかったからだろう。
それに武者修業のつもりでその日の生活を送っていた私と、
合理的で無駄の無い生活のために大学に通っている彼らとはほとんど合うところがなかった。
しかしヒッピーとして世界をうろついている彼らには少しだけ何か仲間意識のようなものを感じた。
何もこんなタジマハールで座禅など組まなくてもよいのにと思いながら。
翌日インド的石彫の沢山あるカジュラホに向かった。
エロチックな彫刻の間を、
子供連れの母親達が何組も歩いていた。
一種の性教育なのだろう。
さらに南に下り、仏教ゆかりの地であるサンチを訪ねる。そこでバスで団体旅行をしている日本の仏教関係の人達に遭った。 |